弁護士で不動産投資家の町田北斗です。
法律家の視点で「契約リスク」を回避し、投資家の視点で「優良物件」を見極めるスタイルが得意です。失敗しないための契約知識や、日々の投資実践録を綴ります。法律実務解説メディア[LL-GUIDE]
弁護士として数多くの不動産トラブル相談を受け、また私自身も一人の不動産投資家として物件の売買を繰り返してきた経験から、**「不動産取引において、絶対に押さえておくべき基礎知識」**をまとめました。
不動産取引は、一生に数回あるかないかの大きな買い物であり、投資家にとっては事業の命運を分ける瞬間です。しかし、多くの人が「仲介業者が言うから大丈夫だろう」と、内容をよく理解せずにハンコを押してしまいます。
今回は、**法的なリスクヘッジ(弁護士の視点)**と、**実利の確保(大家の視点)**の両面から解説します。
日本の不動産取引では、契約自由の原則があります。極論を言えば、法律(強行法規)に反しない限り、契約書に書かれた内容が全てです。
「営業担当者が『この雨漏りは直します』と言っていた」としても、契約書に「現状有姿(そのままの状態)で引き渡す」と書いてあれば、法的には契約書の記載が優先される可能性が高いです。
弁護士の鉄則: 口約束は存在しないものと思え。すべての合意事項は書面に残すこと。
契約の直前に、宅地建物取引士から説明を受ける「重要事項説明書(重説)」。これを単なる「読み合わせの儀式」だと思っていませんか?これは物件のリスク情報の宝庫です。
特に以下の3点は、投資価値を左右する重大項目です。
建築基準法上の道路に、敷地が2メートル以上接していないと、原則として建物を建て替えられません(再建築不可)。
その土地に「どんな種類の建物を」「どれくらいの大きさで」建てられるかの制限です。
前面道路に配管があっても、それが「私設管」で他人の所有物だった場合、利用や掘削に高額な承諾料を請求されるトラブルが多発しています。
契約書の中で、私が最も目を光らせてチェックするのは以下の2点です。
銀行の融資審査が通らなかった場合に、**「白紙解約(ペナルティなしで契約を無効にする)」**できる条項です。
引き渡された物件が、契約の内容(種類、品質、数量)と適合しない場合に、売主が負う責任のことです。
契約時に支払う「手付金」。これは単なる前払い金ではありません。
最後にお金のやり取り(決済)と鍵の引き渡しを行い、登記を移転します。ここでのトラブルは「残置物」です。
不動産取引において、仲介業者は「契約を成立させること」が仕事であり、あなたの味方とは限りません。
契約書にハンコを押す前に、以下の3つを自問してください。
法的知識は、あなたの資産を守る最強の防具です。 疑問点があれば、署名前に必ず専門家に相談する勇気を持ってください。